家賃査定の仕組み①

不動産会社の売却金額や家賃の査定方法は、各社それぞれが違う仕組みで査定しているため、同じ取引事例を参考にしても、金額に若干の違いが出てきます。また査定をする担当者の思想や好みなども反映されることもあり、同社内でも金額のズレが生じます。そのため真の相場金額を知るためには、国家資格者である不動産鑑定士にお願いするしかないのではと思いますが、不動産鑑定士は国や地方自治体が公表する地価や理論的な数字の計算では根拠のある正確な金額は出せるものの、直接現場で不動産取引きを行っている方ではないため、実際の現場・市場の動きが反映されていないような金額が出てくることもあります。

不動産会社の査定方法は、大きく2つに分けることができると思われます。1つ目は「コンペア式」とも呼ばれる方法で、査定対象物件に類似する物件の最新成約事例と査定対象物件の各項目を比較して、その比較差で金額を算出する方法です。比較する項目は、住所・交通・築年数・階数・向き・設備・広さ・間取りの人気度・時期など、いろいろな観点から比較して、最新の成約事例を基に算出されます。

しかし私はこの査定方法に昔から大きな疑問を感じており、あまりこの査定方法で算出することはありません。その疑問とは、比較する類似物件が「たまたま高く又は安く決まった」という事例と比較してしまったら、査定対象物件も相場より高く又は安く算出されるのではと感じております。査定のプロが行うことですので、高い又は安い事例は使用しないと思いたいのですが、危険度が高い査定方法と思っております。

一方、2つ目の査定方法は、多数の類似物件の成約事例と査定対象物件を比較して算出する方法です。多数の成約事例の中には、高い又は安い金額で決まった事例も交じっておりますが、その上下の事例を削除して残った事例で比較すれば、より正確な比較ができます。多数の物件での比較となるため、比較する難しさはありますが、時間が掛かっても手間が掛かっても、コンペア式よりは必ず正確な金額が算出できるものと考えております。