定期借家契約の賃料計算

リロケーションのように、転勤などによりその転任期間だけを賃貸しようとする時や、近い将来に売却を予定している時などには、賃貸借契約の更新が無い定期借家契約を利用して持ち家を賃貸することが望ましいとされています。契約解除や契約更新を拒絶する際には「正当事由」を必要とする普通借家契約と違い、当初に定めた契約期間を満了すると同時に契約は終了し、借主より建物が明け渡されます。

そもそも定期借家契約とは、「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」に基づき、定期借家法の一部が改正され、平成12年3月1日に施行されたものです。定期借家契約により貸主側の保護をすることによって市場に良質な賃貸住宅を数多く供給し、賃貸住宅の賃料相場を下げようという目的もあるようです。すでに施行から15年以上が経過しており、一般市場での普及率も上がってきてはおりますが、更に普及率を上げるには、定期借家法の内容を一部見直すことが必要でしょう。現在でも社宅として会社名義でお部屋を借り上げる大手法人の一部には、定期借家契約というだけで社宅借上げ規定ではNGとしている法人もあります。

この定期借家契約は普通借家契約と比べ多少貸主側に有利であると考え、その分を賃料で値下げしたり礼金を減らしたりするなどの対策を取ることが一般的です。しかし一部の専門家や賃貸管理会社には、そのような対策を取らなくても普通借家契約と同じ家賃で借主が見つかると言う方もおりますが、あまり現場を知らない方の見解かと思われます。

マンション専門プラザでは、定期借家契約による賃借人へのデメリットを数値化し、独自で作成した下記の計算式を参考に、定期借家契約での賃料を計算しております。この計算式は10年以上前から使用しており、実践での結果を踏まえながら少しずつ数値を変更し、現在の計算式になっております。まだこの計算式自体にも様々な問題はあるでしょうが、感覚ではなく、ある程度の根拠があった方が、皆さんも納得できるでしょう。

1.(普通借家契約での契約期間総額家賃-下記表の合計額)÷契約期間月数=定期借家契約での月額家賃

2.礼金をマイナス1ヶ月分

引越費用 最低150,000円
※階数によって多少変更する
調整金額 1年定借 500,000円
2年定借 400,000円
3年定借 300,000円
4年定借 200,000円
5年定借 100,000円
仲介手数料 賃料1ケ月分

例)普通借家契約で200,000円のお部屋が、3年間(36ヶ月)の定期借家契約にすると、 (200,000円×36ヶ月-650,000円)÷36ヶ月 ≒ 182,000円
3年間の定期借家により、家賃-18,000円礼金-1ヶ月分になります。

皆様も参考程度にご利用下さい。