入居者の募集条件

アパートや賃貸マンションとは違い、分譲賃貸マンションではお部屋ごとに所有者が異なるため、賃貸の入居者を募集する際の様々な募集条件も異なります。様々な募集条件とは、家賃や敷金・礼金の金額のほか、室内でのペット飼育やタバコの喫煙の可否、そして契約形態などを言います。今回の分譲賃貸コラムでは、これらの募集条件が賃貸経営自体にどのような影響を及ぼすかを説明いたします。

まず敷金や礼金と家賃の関係は、次の分譲賃貸コラム〔敷金と礼金と家賃の関係〕で説明しておりますので、そちらをご参照下さい。

次に、ペット飼育についてです。一昔前までは、分譲マンションでのペットの飼育を禁止しているマンションが大半を占めておりましたが、近年のペットブームもあり、分譲マンションにおいても殆どのマンションがペットの飼育を認めるようになりました。しかし、まだまだペット飼育が可能な賃貸住宅は希少性が高く、家賃が相場より若干高くても借主が早期に見つかるケースが多々あります。分譲賃貸マンションの場合では、各オーナー様によってペットに対する考え方が違うため、管理規約でペット飼育が認められている分譲マンションでも、各部屋によってペット飼育の条件は異なります。リロケーション(転勤期間のみの賃貸)で賃貸し、転勤期間が終了した時にまた自ら居住することを考えているペットを飼育していないオーナー様の場合、その殆どのお部屋はペット飼育を禁止している傾向があります。またペット飼育による貸主側のリスクを軽減するために、ペット飼育の際は敷金を1ヶ月分上乗せして賃貸する方法も一般的となってきております。

ペット飼育の禁止と同じように、室内でのタバコの喫煙を禁止するという条件が付いている分譲賃貸物件も数多くあります。現代の日本では、年々喫煙率が下がってきているとは言え、依然として男性約30%、女性約10%の喫煙率を誇る喫煙大国です。そのため現代の日本では、募集条件で禁煙とした場合は借主を限定する条件となるため、マイナスに作用する傾向にあります。

最後に、契約形態の説明です。普通借家契約と定期借家契約の契約形態の違いによる賃料への影響について、〔定期借家契約の賃料〕のコラムで説明したとおりです。

その他では、法人契約希望や法人契約限定という条件です。長い間、借主は個人よりも法人の方が安全だと言われていましたが、最近の賃貸業界では、滞納分の家賃を保証する会社や保証人を代行する会社の出現、並びに個人の方にはクレジットカード審査まで行う時代ですので、個人・法人についてはあまりナーバスにならなくても問題ありません。法人希望という募集条件で優良な個人をシャットアウトしてしまうことの方が、家賃などにも大きな影響を及ぼします。

分譲賃貸のオーナー様は、その大半が賃貸業に関しては素人のオーナー様です。そのため、トラブルとなり得ることはできる限り避けておきたいという強い気持ちが原因で、アパートや賃貸マンションではあまり聞かない借主を限定してしまう募集条件を生み出しているのでしょう。