大家さんになるための準備

この分譲賃貸コラムでは、何度か「分譲賃貸マンションの大家さんとは、賃貸業に関しては素人の大家さんである。」ということを書いてきました。元々は自己居住用(自ら住むための住宅)として購入される方の多い分譲マンションでは、住換えや転勤によってやむを得ず賃貸するオーナー様が多数おります。そして勉強不足のまま賃貸業を始めてしまうことが、借主とのトラブルが絶えない状況を作り出していると言っても過言ではありません。では一体どのような手順で分譲賃貸マンションの大家さんとなれば良いのか、それをこれから説明いたします。

まずは事業者としての心構えからです。私はこの心構えこそが、優良大家さんとなるための何よりも大切なことだと思っております。仮に1ヶ月間働いて月給50万円の給料をいただいているとしましょう。この方が所有している分譲マンションを家賃20万円で賃貸したとします。すると月給の5分の2相当の収入を賃貸業によって稼いでいることになります。1ヶ月間の内、2週間弱の労働対価と同じだけの賃料を得ていることになるのです。このように考えると、とても片手間ではできない事業(賃貸業)ですよね。そのために、賃貸業の煩わしい作業を代行する私たちみたいな賃貸管理会社が存在しているのです。たとえ分譲マンションの一室だけの賃貸と言え、これは立派な事業なのです。入居者へは、安全で快適な住宅を提供する義務が生じます。

このことを肝に銘じることが、まずは分譲賃貸オーナーとしての第一歩となります。
事業というのはリターン(賃料収入、礼金収入など)もあれば、リスク(リフォーム・修繕費用、賃借人の家賃滞納、税金納付など)もあります。そのため予め賃料と経費、収入と支出を予測することが重要です。しかし自ら相場を調べて家賃を予測すること、そして将来的な経費を予測することは、素人の大家さんにとても難しいことです。これも同じく分譲賃貸取引きに精通している賃貸管理会社などに家賃の査定や経費の説明を受けるのが最良でしょう。合わせて、賃貸業の煩わしい作業を代行してくれる賃貸管理会社を1社決めます。2~3社のお話を聞き、比較検討されることをお勧めします。

次は、賃貸する際に準備しておく物があります。まずは設備関係の取扱説明書です。入居した入居者から、設備の使用方法などについて度々連絡をいただくというのは、入居者にとっても手間の掛かる話です。取扱説明書関連の書類は、マンションの管理規約・使用細則と一緒にまとめて入居者へお渡しできるように準備しておきましょう。またお部屋の鍵は、余分に入居者へお渡しできるくらいの本数を用意しましょう。最低3本、3LDK以上であれば4本以上が目安です。更に、最近流行のカートリッジ式の浄水器が設置されているマンションの場合は、入居者に新たな生活を気持ち良くスタートしていただくために、事前に新しいカートリッジを準備しておきましょう。

最後は、転勤の間だけを賃貸するというリロケーションの場合ですが、特別な手続きを要する場合があります。これは「リロケーション物語」をご参照ください。