造作買取請求事件(H22.1.25東京地方裁判所判決)

●判決:造作買取請求の対象外

●事案の概要:契約解除に伴い、借主が取り付けた家庭用エアコン3台の造作買取請求権の行使(賃貸借契約書には、造作買取請求権について排除するという条項・特約はない)

●判決の理由:造作とは、建物に附加され、借主の所有かつ建物の使用に客観的便益を与えるものであり、借主が撤去することによって、そのものの利用価値が著しく減じるものであると解される。本件の家庭用エアコンは、汎用性のあるものであり、これを撤去することによって、本件建物の利用価値が著しく減ずるものでもなく、また取り外しも比較的容易であるものと認められることから、本件建物に附加した造作と認めることは難しく、造作買取請求権の対象とはならない。

●補足:平成4年8月に施行された借地借家法で、造作買取請求権の規定が任意法規に変更されたため、造作買取請求権を放棄する特約に双方合意すれば有効となっております。