「水落し」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか? 堀や池の水を抜くこと、堤防の水位上昇に伴い一部分から水が落ちるように設計されている場所のこと、三重県の地名、そして初めて聞く方もいるかもしれません。「水落し」とは、北海道の方言という説もあり、北海道民であれば誰でも知っている言葉です。
極寒地では、気温がマイナス3~4℃を下回ると、水道管の中の水が凍結して水が出なくなります。また凍結した水が膨張して水道管が破裂すると、修理するまで水道が使用できなくなるのはもちろん、破裂した直後は水道管の元栓が空いたままのため、水が止め処なく噴出す場合もあります。そして給湯機内の水道管が破裂すると、給湯機自体が修理不能なくらい水浸しになることもあります。
そのため気温が下がる夜には、水道管の水を抜いてから就寝します。また家を数日空ける場合にも、水道管の水だけではなく給湯機内部の水を抜いてから外出します。この作業を「水落し」と言い、水道管が凍結や破裂することを「パンクする」とも言います。
そんな北海道でも、近年ではあまり「水落し」をしなくなりました。その理由は、
①住宅の断熱性・機密性の向上により、外はマイナス気温でも室内は暖かいため
②水道管にも断熱処理が施されているため
③給湯機には凍結防止装置が内蔵されているため などなど
北海道では給湯機は屋外ではなく室内に設置されているのが普通のため、マンションの場合はほぼ「水落し」が不要となっております。しかし十数年前、給湯機がバルコニーに設置されていた札幌の分譲賃貸マンションを管理していた際、僅かな空室のタイミングで給湯機がパンクしてしまい、大きなトラブルとなりました。バルコニーの排水口が凍っていたため、バルコニーはスケートリンク状態となり、更にバルコニーから溢れた水が室内に流れ込み、室内は水浸し。また下の階のバルコニーまで大きな氷のツララを作ってしまったというトラブルです。被害総額200万円以上。水道代も数十万円の請求が来ましたが、こちらは減免していただきました。
そして平成30年2月、日本列島を駆け抜けた記録的な大寒波の際、皆さんもテレビなどで「水道管凍結」「水落し」という言葉を聞かれた方は多いのではないでしょうか。首都圏でも最低気温が0度以下となる日が続き、分譲賃貸マンションの管理物件でも水が出ないなどのトラブルが発生しました。そんな時、我々は業者を手配するのではなく、過去の経験から入居者様には「まずは落ち着いて。そしてお部屋を暖めて半日から1日様子を見て下さい。」とだけ伝えていました。凍結した水道管はゆっくりと暖められ、凍結は自然に解消されるのを我々は知っていたのです。
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