新築未入居の分譲賃貸マンションを貸す時

近年では、税金対策や投資用として新築の分譲マンションを購入する方も増えているようです。また、自己居住用として新築の分譲マンションを購入し、新居へ引っ越す前に転勤となり、やむを得ず分譲賃貸マンション(リロケーション)として第三者へ賃貸することになったという話もよく聞く話です。これらのような新築の分譲賃貸マンションのケースでは、既存の分譲マンションの賃貸とは違い、購入した新築分譲マンションのお部屋に一度も住むことなく第三者へ賃貸することになるため、いくつか注意しなければならないことがあります。

●マンション施工会社等による定期点検への対応
新築の分譲マンションでは、お部屋の引渡しの3ヶ月後、1年後、2年後などのように、アフターサービスとして定期的に施工会社などによるお部屋や共用部分の点検があるのが一般的です。しかしお部屋を賃貸していると、定期点検の度に賃貸の入居者へ断って入室し、お部屋を隅々までチェックするということは、とても手間の掛かることですし、入居者にとっても不快に感じる方もいることでしょう。そこで入居者へは、賃貸借契約締結前に書面で「定期点検各期には、入居者自身で積極的にお部屋のチェックをしていただく」というよう、事前にお願いしておきましょう。入居者も契約時にお願いされていれば、定期点検時にも気持ち良く協力してくれるはずです。

●所有権移転登記
賃貸借契約の締結前には、借主に対し登記簿謄本等によって貸主を明らかにしなければなりません。しかし新築の分譲マンションでは、売主から買主(オーナー様)への所有権移転登記完了までに相当の時間を要します。そのため、お部屋の引渡しを受けても登記完了まで賃貸借契約を締結できないとなると、時間的なロス、即ち金銭的にも大きなロスを生んでしまいます。そこで所有権移転登記が未了のお部屋を賃貸する場合、マンション購入の売買契約書や登記申請書の写しなどで貸主たる証明が借主にできるよう、事前に準備しておきましょう。

●大型分譲マンションの賃料
数百世帯から成る大型の新築分譲マンションの場合は、お部屋の完成引渡しの時期の前後になると、一気に数十件にも及ぶライバル物件(同じ分譲賃貸マンションとして入居者の募集をするお部屋)が賃貸市場に出回ります。そして分譲賃貸物件が供給過多の状態に陥ると、マンション全体の賃料相場が下がり、予定していた賃料を確保できなくなる可能性もあります。大型の新築分譲マンションを分譲賃貸マンションとして賃貸する時は、多少余裕のある資金計画を立てておくべきでしょう。