敷金等返還請求事件(H23.7.12最高裁判所判決)

●判決:敷引きは有効

●事案の概要:契約解除に伴い、保証金100万円から差し引かれた敷引金60万円と原状回復費用等17万5千5百円の返還請求

●判決の理由:賃貸借契約書には、保証人100万円を契約締結時に支払う義務を負うこと、そのうち敷引金60万円は建物の明渡し後も借主に返還されないことが明確に読み取れる条項があるため、借主は本件契約によって自らが負うこととなる金銭的な負担を明確に認識した上で本件契約の締結に及んだというべきである。そして敷引金の額が近傍同種の建物に係る賃貸借契約に付された敷引特約における敷引金の相場に比して高額過ぎるとは言い難い。以上の事情を総合考慮すると、信義則に反して借主の利益を一方的に害するものということはできず、消費者契約法第10条により無効であるということはできない。

●補足:関東地方でも「敷金償却」という同種の契約方式が存在しております。この判決により 、敷金償却も有効と考えられます。