鍵の交換

近年、住宅のセキュリティーに対する関心が高まるとともに、分譲マンションにおいてもオートロックシステムをはじめ、TVモニター付きドアホン、防犯カメラ、ガードマンの常駐など、様々なセキュリティーが完備されるようになりました。

一方、賃貸における貸主には、入居者に対し安全で快適な生活を提供する義務があるため、マンションにオートロックや防犯カメラがあるから防犯対策は十分だということにはなりません。そこで今回のコラムでは、特に入居者の関心が高い「鍵(玄関キー)」についての貸主の対応策を説明します。

ピッキングで狙われやすい鍵のタイプが「ディスクシリンダーキー」や「ピンシリンダーキー」と言われており、慣れている人であれば1分以内で簡単に開錠できるそうです。そこでこのようなタイプの鍵をお使いの場合は、できる限り「ディンプルキー」や「カードキー」に交換する又はもう1つ鍵を取り付ける「ワンドア・ツーロック」の対策を取るようにしましょう。しかしこれらの対策を取るにも、いくつかの問題があります。

1つ目の問題は、一般的にオートロックと玄関ドアの鍵は同じ鍵で開錠できる「逆マスター」というシステムを採用しています。よって玄関ドアの鍵のシリンダーを交換したことにより、新しい鍵ではオートロックを開けることができず、オートロックと玄関ドアの2種類の鍵を持ち歩き、使い分けなければなりません。2つ目の問題は、玄関ドアは一般的に共用部分となるため、新たな鍵の取り付けは勝手に工事することができません。「ワンドア・ツーロック」の対策を取る場合は、事前に管理組合に届け出て承諾をいただく必要があります。

次に、今まで住んでいた賃貸の入居者が退去し、新たな入居者が入居するという場合は、必ず玄関キーを交換して新たな借主にお部屋を引き渡すようにしましょう。今まで住んでいた入居者が合鍵を作製していれば、その鍵を使用して退去後も簡単にお部屋へ侵入することができるため、盗難事件や殺人事件のリスクが高まります。そしてこの事件の責任は、鍵を交換しなかった貸主にあるとされます。

最後に「逆マスター」について補足で説明しましょう。玄関キーのシリンダーを交換する際、オートロックでも使用できる「逆マスター」の鍵を取り付けたい場合、一般的には鍵のメーカーやその代理店へ注文することにより交換が可能となります。しかし注文してからシリンダーと鍵が届くまで1ヶ月前後掛かりますので、日数には余裕を持って注文しましょう。その他、玄関ドアの内側にドアチェーンが付いていない場合は、チェーンや補助キーを取り付けるだけでも安全性は更に高まります。