転勤や住換えなどの際、まずは現在住んでいる分譲マンションを売ろうか貸そうかと考えることでしょう。マンション専門プラザへ分譲マンションの家賃査定を依頼されるお客様の内、実に半数以上の方が売却も同時に検討されております。今回のコラムでは、万人に当てはまるアドバイスではありませんが、売却と賃貸ではどちらが得かという選択をする際のポイントをお教えいたします。
近年、首都圏では土地や物価の値上がりに伴い、マンションの価格も上昇しています。また2020年の東京オリンピック開催に伴い、特に湾岸エリアの地価が高騰しているようです。しかし近い将来、現在の不動産相場がどのように推移するかを予測することは、とても難しい状況です。将来の不動産の価値観を大きく左右するだろう年金や少子高齢化などの問題解決に至っては、全く先が見えておりません。その道の専門家の方々でも、土地の値段は上がる・下がる・都心部と郊外との二極化が進むなど、色々な見方をされています。あなたはどのような予想をされますか?
一方、家賃というのは、土地の値段が2倍になっても家賃が2倍になるようなことはありません。家賃とは土地と建物の賃貸による対価であり、土地の価格が2倍になっても建物の価格が2倍にはならないからです。また賃貸借契約とは継続的な契約のため、急に値上げや値下げをできるものではありません。これらのことを前提に、現在、住宅ローンの返済中である場合の賃貸を、利回りを基に考えてみましょう。
賃貸した場合の収益性を表す指標には、「表面利回り・実質利回り」というものがあります。表面利回りとは、「年間賃料収入÷物件の販売価格(土地・建物の売値)」、実質利回りとは、「(年間賃料収入-必要経費)÷物件の販売価格(土地・建物の売値)」で表され、その数値が高いほど収益性が高いと言えます。そして賃料収入が減ったり、経費が増えたり、土地・建物の売値が上がれば、自然と利回りは下がります。
それぞれのマンションの立地や建物の内容によって異なりますが、分譲賃貸マンションの場合、実質利回りが5%以上であれば、収益性はそれなりに確保できていると言えるでしょう。しかし住宅ローンを抱えながらの賃貸の場合、実質利回りを計算する際の必要経費に住宅ローン金利を含めて計算しますので、ローンの残高・金利によって実質利回りが相当下がってしまいます。
例)物件価格4,000万円、賃料20万円、必要経費月額4万円、住宅ローン残高3,000万円とした場合
<表面利回り> 賃料20万円×12ヶ月÷物件価格4,000万円=6.0%
<実質利回り> ((賃貸20万円-(必要経費4万円+金利5万円))×12ヶ月÷物件価格4,000万円=3.3%
※必要経費…管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税・住宅ローン金利・不動産会社に支払う管理委託料など
※金利…住宅ローン残高3,000万円、30年返済、金利2%とした場合の第一回目の支払い時の金利