分譲賃貸マンションのオーナーとは、分譲マンション1室の賃貸業を営む個人事業主のオーナーが多く、毎年の確定申告さえ行えば良いと思われているオーナーも多いと思います。しかしある程度の規模で賃貸業を営むオーナーにとっては、個人事業主ではなく、法人を設立して節税効果を高めることも賃貸業にとっては重要な要素の一つとなります。
では、賃貸業において個人事業主から法人化することによるメリット・デメリットを簡単に説明しましょう。
<メリット>
〇税率が低くなる
平成29年度の資本金1億円以下の普通法人の実効税率は、以下の通りです。
・所得400万円以下…21.42%
・所得400万円超800万円以下…23.20%
・所得800万円超…33.80%
個人事業主の場合、所得が330万円を超えると所得税・住民税の税率が30%を超えるため、所得が高くなればなるほど法人の方が有利となります。
〇給与所得控除の利用
個人事業主の場合、実際に使った経費しか控除することができませんが、法人の場合は、給与を支給することで支払った給与を法人の損金にできるようになります。(給与を受け取った個人は、給与所得で課税されます)
給与所得の場合、給与額に応じた「給与所得控除」分を差し引いて課税されるため、法人化して自分自身や家族に給与を支払うようにすれば、「給与所得控除」を受けることができます。
〇青色欠損金の繰越制度の利用
個人事業主の場合、事業所得等で発生した損失を3年間繰り越しできますが、法人の場合は、9年間の赤字を繰り越すことができます。事業開始当初の赤字分は、将来の黒字分と相殺できます。
〇経費の範囲が広がる
個人事業主の場合、実際の事業活動による支出しか経費として認められませんが、法人の場合は、基本的に支出全てが経費になります。ただし役員の個人的な経費は、役員賞与と認定されることがあります。
<デメリット>
〇法人住民税の支払い
個人事業主の場合、赤字であれば所得税や住民税が発生しませんが、法人の場合は、赤字でも法人住民税の均等割として毎年7万円(地域によって異なる)を納める必要があります。
〇法人運営コスト
法人を設立すると、経理上、必ず帳簿や法人税等の申告書の作成をしなければなりません。特に法人税の申告書の作成は専門性が高いため、税理士に作業を依頼することになり、その分の経費も掛かります。
〇社会保険の加入
法人の場合、社会保険の加入が義務付けられ、社会保険の会社負担が発生します。また会社負担額は、増加傾向にあります。
以上、事業規模に関係なくメリットとデメリットを比較して、法人化を検討してみましょう。
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